6月26(金)デビュー
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Episode. 『眠れない夜に。』
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時計を見る。
もう夜も遅い。
疲れているはずなのに、なぜか眠れない。 身体の奥が妙に昂ってしまった、そんな夜だった。
静かに扉が開く。
「こんばんは…っ」
少し緊張したように、伏し目がちに響いた声。 吸い込まれそうな大きな瞳と、透き通るような美白肌。
どこか儚げで、こちらが優位に立てるような錯覚さえ抱かせる綺麗なお姉さん。 最初は、そんな大人しくて従順そうな彼女に、ただ身を委ねるつもりだった。
しかし、二人きりの空間にカチリと鍵がかかった瞬間、空気が一変する。
彼女が何の躊躇もなく、すぐ隣へと潜り込んできた。
ふわりと漂う甘い香りと、容赦なく押し当てられる柔らかな温もり。 驚いて顔を上げると、そこにはこちらの困惑を愉しむような、冷徹で妖艶な微笑みがあった。
「起きててくださるんですよね…?」
耳元で低く囁かれたその一言で、ゾクりと背筋が跳ね上がる。 守ってあげたくなるような弱々しさは消え去り、そこには完全に主導権を握った「夜の支配者」がいた。
その強烈なギャップに理性が一瞬で消し飛び、頭の中は「このあとどうされてしまうのか」という妄想で埋め尽くされていく。
いよいよ、彼女のペースで施術が始まる。
大人しかったはずの指先は、こちらの反応を確かめるように、驚くほど大胆に、かつじっくりと肌を這う。 逆らうことの許されない、計算し尽くされた滑らかな愛撫。 その圧倒的な心地よさに、なす術もなく翻弄され、ただ息をのむことしかできない。
身体をほどくための癒しのはずなのに、頭の芯は熱く昂り、完全に目が冴えていく。 気付けば、蕩けそうな笑みを浮かべてこちらを見下ろす、彼女のサディスティックな瞳から目が離せなくなっていた。
帰る頃には、眠れなかった理由なんてどうでもよくなっている。
「今夜はぐっすり眠らせてあげますね」と言った、彼女のあの眼差しが頭から離れない。
また眠れない夜が来たら。 今度はどんな風にされるのだろうか。
それを確かめに、きっと、この扉を開けるのだろう。
──To Be Continued.